前回までのあらすじ:マカオ到着4時間もたたずに資産の70%を失う。
とりあえず一旦ホテルに戻る。冷静に自分の過去の悪事を反省しだす。
小さい頃、近くの倉庫の屋根をバキバキに壊したのがいけなかったか。いやあれは弁償したしな…。実家で甥っ子のプチダノンをよく勝手に食べてしまったのがいけなかったのか。あ、それかもしれない。
まあいいや。とりあえず負けっぱなしは悔しい。
よし、決めた。残りのマネーを一回で全賭けする。これでダメだったら潔く観光地を巡る穏やかなジャパニーズメンになろう。
カジノに戻った俺は残りの3万円をすべてチップに変えて、どこで勝負しようか考えた。ゲームは一番確率の高いバカラにした。
テーブルを選ぶ。パッと目に入った左のテーブルは小太りの男性が1人いて、なんだか感じがわるい。俺はここは嫌な気がした。
そして右のテーブルは若い女性が2人ぐらいでなんだか雰囲気もいい。よし、ここに…いやまてよ。チョ、マテヨ。
今日の俺はことごとく直感が外れている。ならば自分の運のなさを利用した逆張りをしよう。そもそもこの発想が悲しいが、俺はあまりいきたくない左のテーブルに座った。
バカラというゲームは単純で、バンカーかプレーヤーという2箇所のどちらかに賭ける。そして数枚のカードの合計が9に近い方が勝つってルールだ。勝てばお金は2倍。勝つ確率も50%。
俺は直感で(これは…バンカーが必ず勝つ!)と閃いた。そして俺はそっとプレイヤー側に全チップを賭けた。
テーブルに座るやいなや、いきなり3万円相当のチップをかける俺に、小太りの男性もややびっくりして、賭けるのやめてゲームを見ていた。
カード2枚が俺に配られる。この合計が9に近かったら強い。
1枚目をそっとめくる。エースの「1」だ。正直微妙だ。
でも「8」がきたら鬼強い。「1」とかきたら死ぬ。穏やかな観光地巡りになる。
そーっと、もう一枚をめくる…。
喜ぶ。勝った。速攻換金した。
そこからは俺の必殺技「自分の直感信じない」作戦が功を奏して、順調に資産を増やしていく。そして運がよくなりだしたら、自分の直感どおりに賭ける。とんとんといろんなゲームに勝って、資産を最初の状態まで戻した。のだが…。(続く)(まだ続けるんかい)